- 職場に聴覚障がい者の方が入ってきたが、初めてでどう接したらいいかわからない。
- 聴覚障がい者とのコミュニケーションにうまくいかず、仕事が進まない
- 聴覚障がい者が働きやすいように何か工夫してあげたい
という方に向けて、会社員12年目の聴覚障がい者の私が経験をお話しますので、ご参考になれると思います!
この記事では、会社と一緒に考えた聴覚障がい者が働きやすい工夫した事例を紹介しています。
会社とともに、工夫して聴覚障がい者が働きやすい環境づくりできた成果なので、参考してみてほしいです!
目次
聴覚障がい者を採用するのは初めての会社
現時点、聴覚障がい者の私が働いている某メーカーは聴覚障がい者は7名です。
聴覚障がい者の私を採用してもらってから、どんどん耳が聞こえない人が増えてきました。
聴覚障がい者の私を採用させてもらった人事の方に、「聴覚障がい者を採用するのはあなたが初めて」だと言われました。
3カ月ほどの研修を受けたとき、本当に色々と工夫してもらいました。
研修での工夫
聴覚障がい者の私が入社したとき、同期は21名いました。本来は全員受講する形でしたが、私だけ特別に別室でマンツーマンで受けました。資料はもちろん、指差しで説明してもらいながら筆談もしてもらいました。
ただ、全てマンツーマンではなく、グループディスカッション、運動の時は21名の同期の方と一緒に参加させてもらいました。
運動の中に、動きを全員合わせなければならないところがあり、そこは前の人の動きを真似ていきました。
グループディスカッションでは、記憶が曖昧なのですが、5人1組で分かれて、聴覚障がい者の私は6人1組のところに入り、私の横に同期1名の方が座って、要約筆記してもらいました。
私が意見をいうとき、もちろん紙に書いてみんなに見せて話し合いをしました。
研修期間の最後の日に人事の方にアンケートを渡されて、記入していきました。アンケートの内容は、「研修内容はどうだったか?」「後輩に聴覚障がい者の方が入ってきたらどう対応したらいいか」などでした。
アンケートに関しては、聴覚障がい者の私の意見としては、「最後の日ではなく、中間としてもアンケートなとでヒアリングしたらよかったのでは?」です。
例えば、3カ月の研修期間なら、1か月目、2か月目のときにアンケートを出すという方法です。
1か月目でヒアリングし、改善箇所は改善し、2か月目で改善成果はどうだったかを調べる意味でアンケートであってもよかったのでは?と思っています。
【会社が考えた研修での工夫】
- 別室に移動し、マンツーマンで受講。講師は資料に指差ししながら筆談で説明。
- グループディスカッションでは、横に要約筆記してくれる方が座って、隣で書いている内容を見ながら内容を把握していく流れ。質問や意見を出すときは自分で書いてみんなに見せながら、意見交換していった。
- アンケートで聴覚障がい者に対しての対応方法をヒアリングする方法もあります。(例えば、3か月目の研修期間なら、1か月目、2か月目にアンケートなどでヒアリングをおすすめします)
配属先での工夫
研修期間が終えて、仮配属として現場で働き始めます。実はその配属先は学生のときにインターンシップで就業体験させてもらいました。期間は2週間でした。
会社員として初めて現場で仕事を始めたのですが、職場の方々はインターンシップでお世話になった方がほとんどなので、皆さまは慣れているので、口で大きくゆっくり話してくれたり、筆談してくれたりしました。
ただ、インターンシップでのコミュニケーション手段は少し変わりました。インターンシップは紙を使っての筆談をしていきましたが、会社員になると電子ボードを使って筆談しました。
電子ボードは会社が用意してくれたボートで、今も使わせてもらっています。
会社が用意してくれた電子ボードは会社のものなので、持ち帰るのは難しいのですが、使わせてもらっている電子ボードが以下の画像のとおりです。
今は12年使わせてもらっているので、1回押したら完全に削除できたのができなくなりました。3回ぐらい押すと初めて完全に削除できますが、今でも普通に使えています。
集合教育での工夫
聴覚障がい者の私が働いてる会社は年に2回ほど職場ごとの集合教育があります。
コンプライアンス、品質、安全、改善などの集合教育があります。
教育で基本的に資料を配布はしてくれます。ただ、資料には載ってないこともお話もされます。だから、聞き逃すことがないようにUDトークというアプリを使って音声翻訳しています。
UDトーク
Shamrock Records, Inc.posted withアプリーチ
このアプリは音声翻訳で、人の声を文字変換してくれます。デメリットとしては人の声を100%反映できないところです。誤解のないように言っておきますが、会話の内容の全部反映できないわけではなく、所々、誤変換します。
例えば、朝礼でいうなら、「連絡は以上ですが、皆さん何かありますか?」という声をUDトークに反映するとき、「練習は以上ですが、皆さん何かありますか?」という風に、「連絡」が「練習」になったりします。このように話した内容の100%反映されるわけではないです。ですが、文の流れを見れば、内容の把握ができる場合がほとんどです。
要するに、声は合っているけど、文字は違う箇所があるということです。それ以外に問題があるとすれば、話した内容の翻訳ができてないときがあります。どういうことかいうと、今、発言者が話しているのに、それが翻訳できてないときがあります。
報連相の工夫
チームで仕事するうえで欠かせないのが報連相です。
報告するときは100文字以内収まるようにしているため、小さい紙を使って書いています。連絡するときも同様に小さい紙を使って書いています。
相談するときは内容によってA4用紙を使ったり、小さい紙を使ったりします。とはいえ、基本的にA4用紙を使っています。なぜなら、「問題点」「見込み削減効果」「改善提案の内容」などを書くからです。
聴覚障がい者の私の場合は報連相によって使い分けています。もしA4用紙に報告、連絡の内容を書いたら、余白がありすぎてもったいないので、小さな紙を使っています。
先ほど報告、連絡するとき、小さな紙を使って書いていると言いましたが、紙をたくさん使うのはもったいないという方におすすめしたいのが、小さな電子メモパットです。
聴覚障がい者の私の職場に、耳が聞こえない人は私を含めて、4人います。聴覚障がい者の私は報告、連絡する時は小さな紙を書いていますが、そのうちの一人の方は電子メモパットを使って報告しています。
この電子メモパットは先ほど紹介した電子ボードより小さいです。どれぐらい小さいかというと、大人の方の手のサイズです。
紙をあまり使いたくない方にはこの電子メモパットがおすすめです!
聴覚障がい者への情報伝達
上司や先輩にとっては聴覚障がい者になにか連絡するとき、自分の仕事を少し止めての筆談などで手間を感じるかもしれません。
聴覚障がい者の私の上司もそうです。忙しい時は口話で言われますが、忙しくないときは筆談してくれます。
その際におすすめしたいのがUDトークです。先ほど紹介した音声翻訳アプリです。
UDトーク
Shamrock Records, Inc.posted withアプリーチ
これを使えば、スマホに話しかけるだけなので、筆談する手間がなくなります。
とはいえ、聴覚障がい者の私がおすすめするのは、紙での筆談です。なぜなら、指示内容などをメモとして残せるからです。メモパットとして残せる
聴覚障がい者が働きやすいようにしたい方
まず、聴覚障がい者も働きやすい環境づくりのご協力ありがとうございます。
聴覚障がい者が仕事でするうえで一番困るのがコミュニケーションです。
どの仕事でもそうですが、土台となるのはコミュニケーションです。「報連相」というのもあるように、コミュニケーションが最重要です。
そんな土台のコミュニケーションができてなかったら仕事が進まなくなります。
まずは初めにやってほしいのがコミュニケーションという土台づくりです。言い換えれば報連相できる仕組みづくりです。
とはいえ、聴覚障がい者への対応が初めてという方が多いです。だから、何から始めたらいいかわからないという方も多いです。
色々な工夫を紹介させていただきましたが、聴覚障がい者が働きやすい環境づくりで行き詰まったらお問合せよりご相談していただけると幸いです。
まとめ
聴覚障がい者が仕事するうえで一番困っているのがコミュニケーションです。
コミュニケーション支援機器の電子ボードやUDトークなどのツールのおかげで会話できるようになりつつあります。
とはいえ、UDトークはまだ万能ではないので、所々抜けていたり、表示されなかったりします。そこは補足的に説明などをしていただけると聴覚障がい者にとっては助かります。
社会人の基本は「報連相」ですから、コミュニケーションツールを活用して、仕事を着実に進めていきましょう!
また、聴覚障がい者も働きやすい環境づくりで行き詰まったら、ぜひお問合せよりご相談ください。