聴覚障害者でもできる人になれる文章術を知りたくありませんか?ペンたった1本で印象が大きく左右されるのが文章です。
決まり文句のように「できる人は文章もうまい」とありますが、これは事実だと確信しています。今までTwitterなどでできる人をたくさん見てきましたが、文章もうまい人が多かった。
聴覚障害者の私も文章の勉強を続けていますが、ぜひ一緒に「神技の文章術」を手に入れませんか?
トップ営業マンがペン1本で売り上げを貢献した人もいるぐらいです。それぐらい神技の文章力の持ち主なのです。聴覚障害者の私も神技文章術を勉強し、ビジネスに活かしています。
この記事では、実践形式になっています。例文を示しながら解説していきます。今回は神技の文章が身につくための基本中の基本を紹介します。
赤色が間違った例の文で、青色が訂正した例の文です。
一緒に実践して覚えていきましょう!
目次
誤解される恐れのある文章の例
会話であれば、状況から簡単に判断することができます。文章はそうした情報がない分、正確に伝えることが重要になります。
鉛筆が折れた。
会話であれば、すぐ状況を掴めます。「あぁ、鉛筆の芯が折れた」と判断ができます。文章の場合、鉛筆自体が折れたのかと思われます。
エアコンを入れた。
会話であれば、「スイッチを入れてくれてありがとう!」など言えるのですが、文章では3つ誤解される可能性があります。その3つとは
1つ目「エアコンなぢで済ませていた部屋に、エアコンを入れた」
2つ目「エアコンのスイッチを入れた」
3つ目「空いているスペースにエアコンを入れた」
と解釈される余地があります。
兄と友人の結婚式に出席する。
これも3つ誤解される可能性があります。
1つ目「私と兄の二人で友人の結婚式に出席する」
2つ目「私が兄と友人の結婚式に出席する」
3つ目「兄と友人(女性)が結婚し、私が結婚式に出席する」
と解釈される余地があります。
人間は受け取る情報が少ないと想像する心理が働きます。
だから、会話は簡単に状況を把握できるが、文章は簡単に把握できないので、正確さが重要になってきます。
わかりやすい文章は主語にあり
聴覚障害者の私もそうでしたが、周りの聴覚障害者も主語の使い方を誤っている方が非常に多い。
主語の役割は、主語について書くと宣言することです。
「私が」と書けば、私について書くと宣言しています。「〇〇さんが」と書けば、〇〇さんについて書くと宣言しています。
なんだシンプルやん!と思うかもしれませんが、注意が必要です。主語の周辺はシンプルにすることです。
たまに長い主語を見かけます。その場合、どれが主語なのかがかえってわからなくなります。
一つの例を見ていきましょう。
数日間あれこれ悩み、困り果てた彼は、ついに上司を相談した。
よく読めば、主語は「彼は」だとわかるでしょう。ですが、長すぎます。
彼は数日間あれこれ悩み、困り果てたのち、上司に相談することにした。
このほうが読みやすいと思いませんか?
わかりやすい文章の特徴としては、読んでスーッと頭に入ってくることです。
主語は1つの文に1つが基本
文章を組み立てる際、意味などが変化し、主語が2つ以上になった。これはよくある話です。
主語が2つあると読み手に混乱を与えてしまう。
私たちが仲間を信頼せず、自らの利益を優先しようとすれば、敵対組織は私たちを分断するだろう。
この文章は主語が2つ存在しています。「私たちが」「敵対組織は」です。
読み手は「私たちが」と書かれたら、「私たち」のことを書くと宣言していると認識し、読み続けていきます。すると「敵対組織は」があると、えっ?どういうこと?と戸惑う原因になります。
私たちが仲間を信頼せず、自らの利益を優先しようとすれば、敵対組織に分断されるだろう。
この文章のほうがわかりやすいのではないでしょうか。
主語を消すコツは受け身表現を使うことです。1つ目の文が「分断するだろう」、2つの文が「分断されるだろう」になっています。
受身表現を使うと主語が消える場合が多い。主語が2つ以上がある場合、受け身表現を変えていきましょう!
主語を2つ以上並べる場合
主語は1つの文に1つが基本ですが、人の言葉を引用するなどでやむを得ません。
よく見るのが、「首相は増税しないと、新聞が報じた」など。これはやむを得ません。但し、一つだけ注意があります。これ以上並べると読み手に混乱を与えます。
犯行グループが声明を発表したと、中京のテレビ局が報じ、日本のマスコミがこぞってこのニュースを取り上げた県について真相は、不明のままだ。
確かにテレビが言ったことなどを引用して4つの主語「犯行グループ」「中東のテレビ局」「日本のマスコミ」「真相」ができます。しかし、1回読んだだけで理解できる人は少ないです。
このように主語が多く並びそうなときは文を適切に切り分けるのがコツです。
中東のテレビ局が、犯行のグループの声明が報じた。日本のマスコミもこぞって取り上げたが、真相は不明のままだ。
このほうがスーッと頭に入ると思いませんか?
主語と述語の関係
「誰(何)が」「どうした」は近くに置くのが基本
主語によってわかりやすい文が決まると学んでいただきました。次は主語と同じぐらいに重要な述語です。
主語だけ意識しても、述語だけ意識しても、アンバランスな文になります。大事なのは、両方ともに意識をすることです。
どの言葉が主語で、どの言葉が述語なのかがわからないと文の理解が難しい。
中国は大きな人口と広大な国を有し、その長期にわたる経済成長に加えて、軍事力の増強によって、東南アジア世界にとって大きな脅威となりつつある。
読みづらいのではなかったでしょうか?理由は主語「中国」述語「脅威になりつつある」との間を空きすぎているからです。「中国」は主語だと念頭に入れて読んでいても、述語まで50文字以上もあるので、途中でわからなくなってしまいます。
この場合、文章を2つ分ける。
中国は、東アジア世界にとって大きな脅威になりつつある。大きな人口と広大な土地を有するうえ、長期にわたって経済成長し、軍事力を増強させているからだ。
述語「大きな脅威」を主語の近くに置き、文章を2つ分けたことでわかりやすくなりました。
ねじれ文対策
主語と述語が一致してない文が「ねじれ文」です。ねじれ文が起きる原因の多くは書き手が主語を忘れて書き続けたことにあります。なぜ主語が忘れるのか。それは長文である場合が多いです。
一文一意の原則を心がけましょう。先ほど供述した、1文に主語は1つとありますが、大きく関係しています。
御成敗式目は、行政、民事、刑事訴訟などの大綱を法文化したもので、武士のトラブルに際して、幕府に最低を求めることができた。
主語「御成敗式目」と、述語「求めることができた」の部分を見て、読んでみて、「あれ?」と思った人が多いはずです。述語「求めることができた」の主語となるのは、「武士」のはずです。しかし、一致していません。
御成敗式目は、行政、民事、刑事訴訟などの大綱を法文化したもので、御家人はトラブルに際して、この法に基づき、幕府に裁定を求めることができた。
この文は「御成敗式目は行政、民事、刑事訴訟などの大綱を法文化したものなんだ!御家人はトラブルが起きたら、この法があるから裁定を求めることができたんだ!!」とスーッと理解ができます。
長文になりそうな場合、先ほど供述したとおり、文を2つに分けることです。ねじれ文にならないためには、長文を短文にする。
大事なのは、実践を重ねることです。理解するだけではなく、身に着ける。
述語となる言葉選びの注意点
格差が増大する。
いきなり例文を示しましたが、聴覚障害者の私は「おかしい」と全く思いませんでした。実は間違えていました。聴覚障害者は耳が聞こえない分、意味を理解せず、間違って覚えるのはよくあります。
少し話がそれました。格差が増大する、どこがおかしいでしょうか。聴覚障害者は文章苦手な方が多く、おかしいところがないように見えます。ですが、あります。
ヒントを与えます。「格差」と「増大」の意味を調べてください。
調べると、あれ?と思ったのではないでしょうか?
増大は増えて大きくなる表現です。では、格差が増えて大きくなるとなった場合、おかしいと思いませんか?
増えるというのは、数字に対しての意味です。要は増大も数値に対しての意味です。ニュースなどでよく見るのが「予算が増大する」
では、正しい単語は「拡大」です。
格差が拡大する。
主語1つ、述語1つが基本
「主語+述語」が基本になります。
では、以下の例文を読んでみてください。
北欧では、物価、福祉が高い
主語の一つである「物価」の述語は「高い」で間違いありませんが、もう一つの主語「福祉」が「高い」というと意味が成り立ちません。「福祉は手厚い」と言いたかったのでしょう。
改善例は2つあります。
①北欧では、物価は高いが、福祉は手厚い。
それぞれの文に「主語+述語」で分けています。
もう一つの方法は主語を変えることです。
②北欧では、物価、福祉レベルともに高い。
先ほど、「福祉が高い」とありましたが、意味が成り立ちません。そこで「福祉」を「福祉レベル」にすると意味が成り立ちます。
2つの方法があります。どっちでも使えますので、自分に合ったやり方でやってみてください。
述語と目的語
述語となる言葉は主語に合わせて選ぶ必要があると学んでいただきました。実はもう一つ合わせなくてはならないものがあります。「目的語」です。
以下の例文を読んでください。
彼は、アルバイトを働き始めた。
聴覚障害者の僕も読んだとき、「おかしい」と全然気づきませんでした。今では「おかしい」と思えます。
どこがおかしいかはわかりますか?まず、理解していただきたいのが、多くの文章は「主語、述語に加えて、目的語を伴って成り立ちます。
では、どこがおかしいのかいうと、アルバイト(目的語)と働く(述語)が一致していません。
訂正文は3つの例があります。
- 彼は、アルバイトを始めた。
- 彼は、アルバイトに通い始めた。
- 彼は、アルバイトとして働き始めた。
意味の通じる文になったのではないでしょうか?
助詞の使い方
助詞は聴覚障害者が苦手とする方が非常に多い。聴覚障害者の私も苦手でした。
苦手とする聴覚障害者が多い理由は、手話で会話する際、助詞を省く場合が多いと考えています。
助詞の使い方をマスターして、一目置かれる文章術を身に付きましょう!
が・が文
「が」は文章を書く上で欠かせない助詞だと理解している方が多いではないでしょうか。
「が・が文」は「が」の使い過ぎによって、できる文です。文章の勉強を始める前の聴覚障害者の私もそうでした。最悪、5個以上の「が」を書いたときがありました。
日本経済が危機に瀕していると、多くの経済学者が述べているが、日本経済が真価を発揮する時代がこれから来ると予想がなされている報告もある。
主語が5つあります。「日本経済」「経済学者」「日本経済」「時代」「予想」の5つ。何度も読み返しても理解しにくい。
日本経済は危機を瀕していると、多くの経済学者が述べている。その一方で、日本経済はこれから真価を発揮すると予想する報告もある。
5つあった「が」を1つにしました。さらに文を2つに分けました。
「が」を多用すると文がダラダラと長くなり、わかりくい文になってしまいます。
の・の文
「が・が」文と同じぐらいみっともないのが「の・の」文です。
韓国の首都のソウル在住の2分の1近くの人は、自分の子供の名前の漢字を間違えて書いたという。それほどに、近年の韓国での漢字の識字率の低下は、著しい。
読んでみて、なんとなくわかります。しかし、「の」が12字もあり、かなり稚拙な文です。そこで思い切って「の」を削ります。
韓国の首都・ソウルに住む半分近くの人が、自分の子供の名前を誤った感じで書いたという。それほどに、韓国では近年、漢字の識字率が低下している。
そのほうがスッキリしませんか。聴覚障害者の私の基準として、「の」が3回以上出ている文を「の・の」文とみなします。
まず、文を書いてみて、読んで、「の」が3回以上もあったら、思い切って削りましょう。
誤った助詞の使い方の例
不要なのについ入れがちな助詞「で」「の」
手話を含め、日常会話では状況から簡単に把握できるため、助詞を省いても、通じます。しかし、文章は問題です。
前回でも述べたように、日本での構造改革は失敗した。
「前回も」を書かなければならないのに、余計な助詞「で」を入れています。
前回も述べたように、日本での構造改革は失敗した。
以下の例文は不要な「の」を入れています。
鹿児島でのラーメン店は、意外にも塩味を得意としている。
鹿児島のラーメン店は、意外にも塩味を得意としている。
修飾語について
修飾語は置く位置が重要になってきます。置く位置が間違えると誤解を与える可能性があります。
迷走するフランスの市民が、政府に異を唱える。
この文は「迷走している」のはフランスなのか、市民なのかがわからないので、誤解与える恐れがあります。
迷走するフランスにあって、市民が政府に異を唱える。
このように修飾語を掛かる言葉をはっきりさせると誤解を与えない文になります。飾る言葉は飾られる言葉のそばに置くのがコツです。
「迷走するフランス」だと、フランスが迷走してるのだと理解できます。先ほどの「迷走するフランスの市民」だと、どっちが迷走してるの?と思われます。
修飾語を大きく削る
今回の挑戦の相当の成果によって、成功へのおおよその見当がついた。
この文は間違いはありません。ただ、くどいです。「相当の」「おおよその」は余計な修飾語です。
今回の挑戦の成果によって、成功への見当がついた。
そのほうがシャープだと感じませんか?
数字を入れて具体的な文章に
想像してみてほしいのですが、聴覚障害者の読者のあなたは今、飛行機に乗るために手荷物を預けようとしています。
そこでこんな文章で書かれていたらどうでしょう?
重い手荷物の持ち込みは、禁止されています。
文法は間違いがありません。ただ、どれぐらい重さの荷物ならダメなのかがわかりません。乗客に戸惑いを与えます。
重さ20キロ以上の手荷物の持ち込みは、禁止されています。
明確な数字で書かれると、乗客は「20キロ以上ありそうだな。預けようか」と動いてくれます。
このように「大きな」「小さな」「高い」「低い」「重さ」などはできるだけ数値を表しましょう。
聴覚障害者の私が仕事で、数字を具体的に示さなかったことでトラブルに発展しそうになったことがあります。
組立指示書を調達・管理するのは私の役目ですが、ある時、指示書を使い切ったので、新しいのをお願いしますと依頼しに行きました。
ある日、いつも指示書を作ってくれる人が有給で休みを取ってて、別の人に依頼しました。依頼の内容はいつも同じで、わかっているだろうと、枚数などを書きませんでした。
5分で完成し、持ってきて、渡され、確認すると依頼の内容と全く違いました。
これはいつものことだからわかっているだろうという思い込みで生じたミスです。依頼されると暗黙の了承のように30枚作ってくれます。しかし、人によって解釈が違います。
具体的に伝えることが大事です。
読点の重要な役割
句読点は、文章を区分けする重要な記号です。句読点を適切に打つだけで文は読みやすくなります。
私は温泉につかり妻は散歩に出かけ子供たちはテレビを見ていた。
私は温泉につかり、妻は散歩に出かけ、子供たちはテレビを見ていた。
2つの例文を見ると後者のほうが読みやすい。
句読点の重要な役割を再認識できたでしょう。
ただし、読点を打ちすぎると読みにくくなります。
漫画家の、手塚治虫が「ゲゲゲの太郎」で名高い、水木しげるよりも、偉大とされている、理由は、手塚を師と思う、漫画家が多数いるからだ。
漫画家の手塚治虫が、「ゲゲゲの太郎」で名高い水木しげるよりも偉大とされている理由は、手塚を師と思う漫画家が多数いるからだ。
後者のほうが読みやすいではないでしょうか。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
特に聴覚障害者が苦手とするのは助詞の使い方です。手話では助詞を省く場合が多いためだと考えています。
特に助詞を力にいれてほしいと思います。
また、わかりやすい文は主語にあるので、使い方を学んでいきましょう!
修飾語の使い方は意外!だったという聴覚障害者も多いのではないでないでしょうか?
主語と同じぐらいに述語も大事なので、ぜひ学んで、神技の文章術をマスターしていきましょう!