いきなり大事なお話になってしまいますが、「報連相」と聞いて、パッと思いつくのがコミュケーションではないでしょうか。
それぐらいコミュニケーションが重要です。
このサイトに訪問した聴覚障がい者は以下の悩みを抱えていませんか。
- コミュニケーションうまくできず、仕事が進まない
- どういう話し方をしたらいいかわからない
- ひとりで黙々と仕事していて、楽しくない
仕事を進めるためには、もちろん、スキルも大事ですが、最も重要なのが、人間関係です。人間関係にトラブルを生じると、仕事がうまく進まないどころか、ストレスになってしまいます。つまり、9割はコミュニケーションだといって過言ではないでしょう。
ただ、聴覚障がい者の強みは、スキルの上達が早いところです。健聴者同士は作業しながら話すこともあるのに対し、聴覚障がい者は黙々と作業をこなします。だから、上達が早い方も非常に多い。そこに、できる人のコミュニケーションも付け加えるとより高いスキルが得られます。
この記事で学んで、より強く、賢い聴覚障がい者社会人になっていきましょう!
この記事では、筆談、つまり、文章でコミュニケーションをとる前提で執筆しています。
目次
マインドセット
コミュニケーションの勉強をする前にマインドセットを知っていただきたい。なぜマインドセットを知る必要があるのかいうと、考え方によって自分の行動が変わるからです。その管変え方がマインドセットです。
コミュニケーションをとろうとしても、聞いてくれない人も一定はいます。そこで「相手が聞いてくれない」「仕事が忙しい」という感じに、人や環境のせいにすると、成長はできません。つまり、変えられるのは、自分です。環境を変えるのも、もちろん自分です。
もし、聴覚障がい者の読者のあなたが「相手が聞いてくれない」「仕事が忙しい」というように、人や環境のせいにしていたのであれば、一回、考えを改めてみてください。
「人や環境」のせいではなく、「自分のせい」にすると、発想が広がります。
営業の事例を使ってお話します。
一生懸命に提案しても、お客様が聞いてくれない。普通にみると、「なんで聞いてくれないんだ、こっちは一生懸命話してるんだ」とムキっとなるでしょう。それでは「相手のせい」にしているのです。逆に「今日はお話聞いてくれなかった、自分のどこが問題だったんだろう」と考えると、「話が早すぎた」「相手の課題を的確に捉えなかった」などいろんな発想が浮かびます。
心の指を相手に向けるとなかなか成長できないのですが、自分に向けると成長できます。
他責思考より自責思考のほうが成長が早いのは、間違いありません。人を変えようと時間をかけるよりも自分を変えたほうが早いです。
話が通じない理由とは
まず、なぜ聴覚障がい者のあなたの話が通じないのかを一緒に考えていきます。ここでは、筆談でやりとりしている前提で考えていきます。
話が通じない主な理由は以下の3つです。
- 文の意味が分からない
- 文が長すぎて読む気がない
- 結論がない
文が長すぎる、意味が分からない
文が長すぎるのは、聴覚障がい者のよくあるクセともいえるかもしれません。学生時代では、文が長くても普通にやりとりできたかもしれません。しかし、仕事は時間が限られています。限られた時間の中で「すぐ理解できる文章」をどう作るか、です。だから、「短く、わかりやすい」文章を組み立てていく。
そこで勘違いする方が非常に多いのですが、文は長く書けば書くほど伝わる。これは、実は短くすればするほど伝わります。Twitterのアプリをお持ちの方はわかると思いますが、ほとんどの人が140文字以内でツイートしています。短く書いたほうが実はわかりやすい文章を書く基本なのです。Twitterアプリお持ちではない方は、もし興味があったらインストールして開けてみてください。きっと、短い文章なのに、わかりやすいと驚くだろう。
つまり、1回読んでわかる文章を組み立てていくのです。
そのために「主語と述語の位置関係」を理解していくと、1回読んでわかる文章になっていきます。
鳥が飛ぶ
これは主語と述語の関係が一致しています。このようにz主語と述語の関係を意識して書くか書かないかで文の意味が全く変わります。次は少し長めの文です。
僕が飼っている犬は、走っている姿が可愛い。
主語と述語の関係を意識せず、普通に読んでいくと、主語は「僕」で、述語が「かわいい」です。
しかし、文の内容と主語の述語の関係が合いません。主語と述語の関係の辻褄を合わせるような方法は「先に述語を見つける」ことです。述語は「可愛い」でしたね。
述語を頭に入れて、もう一度読むと、主語が「犬」だとわかります。つまり、「犬が可愛い」です。それを付け加えたのが、「走っている姿」です。
このように、主語と述語の関係を意識して文章を組み立て行くと1回読んでわかる文章が書けます。
結論がない
結論を先に持ってくる
「結論がない」という内容を進める前に、ひとつ知ってほしいのが、結論を先に来ることです。
聴覚障がい者の読者のあなたが上司です。今、部下2人より同じ報告を受けています。内容としては同じですが、順番は違います。よく読んでみて、何が違うのかを考えてみてください。
部下A「A社の賃借対照表などを拝見し、詳しく調べたところ、粉飾でした。だから、融資は見送りすることにしました」
部下B「A社への融資は見送ります。なぜなら、この賃貸貸借表は粉飾だからです。」
先ほど供述したとおり、部下Bは先に結論を話すのに対し、部下Aは最後に結論を話しています。どっちも同じ内容ですが、スーッと理解できるのは、部下Bの報告のほうではないでしょうか。
どっちにしても、結論は何よりも重要だと理解していただけたかと思います。
もし、そこで結論が抜けると話が分かりません。
部下A「A社の賃借対照表などを拝見し、詳しく調べたところ、粉飾でした。」
と報告されても、上司は「だから、なに?」と言いたくなるのです。
それでも、融資するのか、それとも、見送りなのか、上司は知りたいのです。
結論+提案
先ほどのお話があったように、結論がないと、「だからなに?」と言われるのです。
そして、プラスアルファとして結論と提案をセットにすると、より強い言葉になります。
例えば、「今月の売上は先月より16%減っています」とします。もちろん意味は理解できます。会社としてはその16%を取り戻すために来月どう動いたらいいのかを考えるでしょう。
しかし、それだけではインパクトが足りません。「結論+提案」をすれば、内容次第でインパクトが強まります。
「今月の売上は先月より16%減っています。その16%を取り戻すためには、1日160個の売上が必要です。そこで、私たち社員一人ひとりが付加価値を探すマインドを身につける環境を作り、見つけ次第、水平展開する仕組みを作ると、取り戻せます。長い時間がかかるのがデメリットですが、実行する価値はあります」
このように、結論+提案をすると、上司の考える手間が省け、さらに評価されるでしょう。
スーッと伝わる話し方の型
先ほど伝わらない話し方を学んでいただきました。次はスーッと伝わる話し方を学んでいただきます。次に紹介する伝わる話し方は、世界に通用できるほど、誰でもできる話し方に型と言われています。
これはPREP法です。一言でいうと、結論で始め、結論で締める話し方です。「話し方」と表現していますが、文を書く際にも役に立つ型です。

上の画像を見てわかるように、結論から始め、最後に結論で締めています。よく結論を強調するための話し方かと聞かれます。そのとおりです。
私たち人間は忘れる生き物です。最初に結論を出して、理由を話して、具体例を提示していても、聞き手が結論を忘れてたら頑張って話したのに、非常にもったいないですよね。
だから、最初に結論を出して、最後も結論で締めると、聞き手は納得しやすくなります。
「手話を上達させるには会話が欠かせません。手話を実際に会話で使わないと覚えにくい。英語と同じく、いくら単語を覚えていても実際に会話などで使わないと上達しにくいのと同じです。だから、手話を上達させるには会話が欠かせないのです」
上の文をPREP法に従って分解していくと、以下の通りになります。
- P(結論)・・・手話を上達させるには会話が欠かせません
- R(理由)・・・手話を実際に会話で使わないと覚えにくい
- E(具体例)・・英語と同じく、いくら単語を覚えていても実際に会話などで使わないと上達しにくいのと同じ
- P(結論)・・・手話を上達させるには会話が欠かせないのです
PREP法に当てはめるだけで、聴覚障がい者のあなたの伝わる力が格段に上達していきます。
しかし、そんな有能なPREP法にデメリットがあります。
PREP法のデメリット
スピーチや長文の作成に使えない
PREP法は相手の集中力を切らないためでもありますが、これは短くわかりやすく伝えるための型です。もうひとつ、PREP法では最初に結論を出します。つまり、盛り上げる目的のスピーチでいきなり結論を出すと、聞き手の人々が面白さが欠けて、集中して聞いてくれない人が出てくる可能性があります。
長文の場合、最初の部分でPREP法を使って文章を作成すると、それ以降の文を読み飛ばしてしまう可能性が出てきます。なぜなら、すでに結論が出ているからです。
人柄や考え方が見えにくい
PREP法は結論で始まり、結論で締める端的な話し方になり、人によって機械的な印象を与えてしまう可能性があります。特に営業や恋愛などで初対面の人に使うときは注意が必要です。
機械的な印象を与えてしまったら、その印象を変えるのは大変なので、初対面の人にはPREP法を使うのは控えましょう。
事前に情報共有してない人に伝わりにくい
何度も供述しますが、PREP法は結論で始まり、結論で締める端的な話し方です。つまり、なぜその結論になったのか知らない人に、PREP型に従って話しても伝わりにくい。イメージでいうなら、メールで「〇〇の件」を入れず、いきなり結論から話すようなものです。聴覚障がい者の読者のあなたも、「〇〇の件」を入れず、いきなり結論で書かれても、何の話かと思いませんか。
だから、なぜその結論に至ったのかを話す。そのあと、PREP法に従って話す。もしくは、相手が事前に情報を知っていても、「知らない」前提でなぜその結論に至ったのかを話して、次にPREP法に従って話す。このやり方だと、相手にとって再確認もできます。
まとめ
まず、マインドセットを変えることから初めていくことです。話しても伝わらないのは、相手が聞かないからという他責思考を捨てて、「自分の話し方が原因」といった自責思考というマインドセットに切り替えることです。
他責思考は、どうしたら相手を変えられるのかを考える時間をかけるのに対し、自責思考は自分の話し方に問題はなかったのかなど、客観的に見ます。つまり、自分が自分を直そうとするので、範囲が広い。逆に相手を変える、直そうと思うと、範囲が狭いだけではなく、疲れてしまいます。だから、自分を変えたほうが一番早い。さらに自分を変えると、相手も変わり始める可能性も出てきます。
文は長ければ長いほど伝わるのではなく、短いほど伝わります。さらに、PREP法に従って、書いていくと、伝わる文が書けるようになります。最初に結論を始まり、最後も結論で締める話し方をしていくと、より伝わります。
有能なPREP法にデメリットもあることも頭に入れて、スピーチや長文、初対面の人、事前に情報共有してない人には使うのを控えたほうがいいでしょう。