このサイトに訪問した聴覚障害者は文章が苦手で、それが原因で職場やプライベートがうまくいかないと悩んでいる方ではないでしょうか。
文章能力はどの時代でも必須スキルだと考えています。
国民一人ひとりが身につくべきスキルだと言えるかもしれません。なぜなら、私たちは言葉のやり取りによって生きています。
物事を考えるとき、話すときなどは言葉が伴います。「考えた」ことを伝えるには必ず言葉が必要になります。
聴覚障害者の読者のあなたが社会人であれば、1回は経験したと思いますが、一生懸命作成した報告書、改善案などの文書を提出し、意味わからんとボツにされた。そんな経験はありませんでしょうか?
私も何度もあります。ボツにされる原因はいくつかありますが、その中の一つに「文章」があります。
さて、この記事では、文章作成の基本中の基本を学べます。
是非学んで、仕事などに活かしていただけると非常に嬉しいです。
目次
主語をはっきり出す。正確に。
主語は誰でも必ず習得しているでしょう。
主語の役割=その文が何について書かれたか、その範囲を示す。
毎日といってもいいほど必ず使うのが、「私は」「私が」「〇〇が」「〇〇は」などです。
主語をはっきり出す
以下、2文を見比べてください。
- 私はユーケンです。
- ユーケンです。
上の文はこの記事の執筆者がユーケンだと想像できるが、下の文は誰がユーケン?だと思うでしょう。
要は下の文は主語が不在なので、誰がユーケンなのかがわからなくなります。
主語を正確に
以下の2文を見比べてください。
- 鉛筆が折れた。
- 鉛筆の芯が折れた。
2文とも主語をはっきり出しています。しかし、事実は違います。
要は主語をはっきり出す。しかも、正確に。
推量、断定、伝聞かを意識
文の内容が「推量」「断定」「伝聞」のいずれかであるかを意識して作成する力を身に付けることが大事です。
まず、推量、断定、伝聞の例を紹介します。
- 断定の例 (~だ。 ~である。)
- 推量の例 (~だろう。 ~らしい。 ~かもしれない。 ~と推測される。)
- 伝聞の例 (~だそうだ。 ~と言われている。)
事実として断定できることがあれば、推量や伝聞のこともあります。
しかし、確実なことなのに、推量表現する、逆に推量にすべきなのに言い切ってしまう。他者から聞いた話なのに、自分の意見として書いてしまう。
そんな文章を時々見かけます。読み手は混乱してしまいます。
また、時々、ハッキリしたデータなどの根拠があるにも関わらず、推量表現で書かれていることもあります。
ただ、断定形は訴える力は強いが、断定するには根拠が必要ということを意識してください。
一文一意の原則
まず、この1文を読んでみてください。
証人は容疑者が店員が外の騒音に気をとられている最中に万引きしたのを見たと言った。
文の始まりから「証人は」「容疑者が」「店員が」の3人の人物が登場します。いずれも「は」「が」という主語です。要は3つの主語が出ています。誰が主語なのか?しかも、それぞれがどの述語につながるのかがわかりにくい。
その文を一文一意にすることは可能です。
まず、関係の深い主語と述語を整理し、並べます。
整理すると以下の通りになります。それぞれが一文一意になるようにします。
- 証人は見たと言った
- 容疑者が万引きしたのを
- 店員が外の騒音に気をとられている最中に
では、整理した文章を一文一意になるように組み立てると以下の通りになります。
③店員が外の騒音に気をとられている最中に②容疑者が万引きしたのを①証人は見たと言った。
数字を外すと
店員が外の騒音に気をとられている最中に容疑者が万引きしたのを証人は見たと言った。
そのほうがわかりやすいのではないでしょうか?
店員が外を見た隙に、容疑者が万引きした。その現場を見た証人がいた、というシーンを想像できるでしょう。
具体的・客観的に伝える
納期が迫ったので、徹夜の生産体勢に入った。
この文を見て、徹夜まで仕事しなければならないほど忙しいのかと想像できますが、何日かかるのかがわかりません。曖昧です。
これだと上司に「何日ほどかかりそうか」と逆質問されます。
では、以下の文はどうでしょう?
納期が3日後に迫ったので、徹夜の生産体制に入った。
3日後と明示すれば、その切迫度がわかります。
上司に「そんなにやばいのか。なら、3人の応援を呼ぶから、明後日の5時まで頼む」など指示が出せます。
時間の問題に限りません。程度を具体的に示せるものは、数値などを出すと読み手に良く伝わります。
もう一つの例、よくあるのが
少々お待ちください。
そういわれたら何分ほど待ったらいいのかがわからないし、不安になります。
そこであと5分程お待ちください。と言われたら、安心できます。
読点を感覚で打たない
読点は「息継ぎをするところに点を打つ」と思いがちですが、実はルールがあります。
様々なルールがありますが、よくある読点の打ち方を紹介します。
文の主題・主語となる語が長いとき、そのあとに
・昨夜から降り始めた雨が、昼過ぎにやんだ。
引用を示す「と」の前に(引用かっこの代用)
。こんな経験は初めてだ、と彼は驚いた。
接続詞・逆接の助詞の後に
・しかし、その意見には素直に同意ができない。
・それは綺麗に晴れたが、気温は低い。
原因・理由・条件などを表す節の後に
・その花に使づくと、甘い香りがただよってきた。
時を表す言葉の後に
・8月15日、長い戦争が終わった。
・今朝、彼からの電話で起こされた。
仮名が続いて読みにくいとき、分割するところに
・ここで、はきものを脱いでください。(ここでは、きものを脱いでください)
「が」は逆接のときしか使わない
同県は「安心でおいしい水プロジェクト」をスタートさせたが、その際に「高度浄水処理装置」を導入した。
上の文を読んで、「んん?矛盾してるぞ」と思いませんでしたか?
「が」は逆接のイメージが強いので、「「安心でおいしい水プロジェクト」をスタートさせたが、」まで読むと、何が悪い事が起きたのかと想像します。しかし、「その際に「高度浄水処理装置」を導入した。」という表現だと、「えっ?これは悪いことではないやん!2つの事実を説明してるだけやん!」と思ってしまいます。
接続助詞「が」は逆接のみに使用しましょう。
前の文が良い事で後の文が悪いことだけではなく、前の文が悪い事で後の文が良いことでも使えます。
とにかく、接続助詞「が」は逆接のみに使用。頭に入れてください。
つなぎ言葉(接続語)はほとんど不要
よく使う、つなぎ言葉が「まず」「そして」「さらに」です。
しかし、実はほとんど不要です。
以下の文は、ある志望動機書です。聴覚障害者の読者のあなたも1回読んでみてください。
私がこの仕事に向いていると思う理由は、以下である。まず、人と接するのが好きなこと。そして、人の役に立つことに喜びを見出せること。さらに相手の立場を想像ができること
この文章でも気持ちが伝わってきます。しかし、硬いと思いませんか?
以下の文は「つなぎ言葉」を全部消しました。
私がこの仕事に向いていると思うのは、人と接するのが好きであり、人の役に立つ喜びを見出せ、相手の立場も想像できるからである。
そのほうがやわらかいと思いませんか?しかも、先ほどの文章と比べ、熱意が伝わってきませんか?
「~がしたい」「~ができる」
「映画」+「みたい」の場合、動詞の目的語なので、助詞は「を」だと使うと思う方が多いと思いますが、「映画が見たい」も使えます。
助詞「が」の役割は意思や希望、可能。感情を表すときに使います。
「~たい」で意思や希望を表す場合
先ほどの「映画が見たい」これに当てはまります。
「食事がしたい」も使えます。
「~できる」「~れる・られる」で可能や能力を表す場合
「ピアノが上手に弾ける」
「片手で重い荷物が持ち上げられる」
などに当てはまります。
好悪の感情を表す場合
「お寿司が好きです」
「あの人の意地悪なところが嫌いです。」
など
聴覚障害者の私が学んでいる文章の本
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まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
聴覚障害者の私が先ほど紹介した本の中から「よくある」ことを厳選して紹介させていただきました。
ぜひ、文章力を高めて、上司などに「成長したな!」と褒められるようになりましょう!
健聴者は口頭ですぐ伝えられますが、聴覚障害者は文章で伝える場合が多いです。私も文章で伝えています。
健聴者も、もちろん文章力は欠かせないのですが、聴覚障害者も必須スキルだと考えています。