このサイトに訪問した聴覚障がい者は仕事での以下のコミュニケーションの悩みを抱えている方ではないでしょうか。(※)
(※)本記事では、主に筆談を中心に執筆しています。
- コミュニケーションうまくできず、仕事が進まない
- もうすぐで社会人になるが、会話できるかが不安
- 伝わる話し方はあるのかが知りたい
大事なことから書いていくと、「コミュニケーション能力を上げろ」ではなく、「コミュニケーションの仕方」の問題です。
いろんな人がおり、話を聞いてくれる人、話を聞こうとしてくれない人といった人がいます。
聴覚障がい者の私は社会人10年ですが、伝えたいことを伝えるために文字を書いていくうちに、待たせてイライラしている人も何人かいました。逆に、待ってくれて、書いているところを見てくれる人もいました。
しかし、書き終えて人に見せると、「意味わからん」と言われたことがあり、かえって話が長くなり、さらにイライラさせてしまったことは1回だけではありません。
コミュニケーションの本などを買って勉強して、試行錯誤していくと、イライラさせることが減りました。
そこで気づいたのは、
コミュニケーション能力ではなく、コミュニケーションの仕方です。
ただ、後ほど紹介するコミュニケーションの仕方の記事を読んで身についたとしても、効果があるという保証があるわけではありません。そこをご了承のうえ、お読みください。
とはいえ、試す価値はあるので、ぜひやっていただけると嬉しいです!
目次
マインドセット
コミュニケーションの仕方を学ぶ前にマインドセットを知っていただきたい。
マインドセットとは、簡単にいうと、考え方です。
仕事は辞めない限り、人間関係を避けて通れません。プライベートはいつでも苦手な人と関わらないようにすることもできます。
だからこそ、マインドセットを変えないといけません。
聴覚障がい者の私も新社会人の頃、「一生懸命に書いたのに、相手読んでくれない!」「書いて、って言ったのに、読んでないじゃん!」といったことがありました。
これは、相手を変えようとしているのです。それが他責思考です。
基本的に相手は変えられません。
コミュニケーションの仕方を含む自己啓発の本などを読んで、自責思考と出会いました。
自責思考は簡単にいうと、言葉のとおり、自分のせいにすることです。
図をまとめると以下の通りです。
他責の場合、原因は相手にあると考えているので、考える対象は相手です。つまり、相手を変えるために考えるので、自責より考える範囲が狭いです。
自責の場合、原因は自分にあると考えているので、考える対象は自分です。だから、他責より考える範囲が広いので、「これは仕組みの問題。何かいい仕組みあるんだろうか」などを考えられるようになります。
要は、相手を変えるのに時間をかけるよりも、自分から変えたほうが早いです。
結論、相手が聞いてくれないと怒鳴るのではなく、自分がどうしたらいいのかという自責思考マインドで取り組んでいくことが大事になってきます。
話が通じない理由とは
自責思考マインドを身につけていただいたと思います。さて、コミュニケーションの仕方を学んでいきます。実は、伝わる話し方に型が存在します。その型を身につくだけで、伝わるコミュニケーションの仕方も身につきます。
伝わるコミュニケーションの仕方を学ぶ前に、一生懸命に書いても、なぜ通じないのかを一緒に考えていきましょう。
話が通じない主な理由は以下の3つです。
- 文が長すぎる
- 結論がない
文が長すぎる
文が長すぎるのは聴覚障がい者のよくあるクセかもしれません。プライベートで、LINEなどでいきなり長い文章で送られてきたことは何回かあったのではないでしょうか。
その時、どんな気持ちで読んでいきましたか。「長いな」と思いながら読みませんでしたか。
それに、読んでいくうちに前半の内容を忘れることもあります。だから、それを防ぐために文を短くする技術を身につけることが大事になってきます。
実に勘違いする方が多いのですが、文が長ければ長いほど伝わる。聴覚障がい者の私も新社会人の頃、そう思って、仕事で時間が限られる中で一生懸命に300字以上長い文章を書いて、先輩に見せると、イライラしながら、読んでくれました。それに、3回ほど読み直して、理解してくれました。
あの時、短く、その上に、主語と述語の位置関係を理解しながら書いてたら、イライラせず、スーッと理解してくれたのでしょう。読み直すこともなかったでしょう。
仕事の場合、目安として、140文字以内を意識していくと、自然と短い文章が書けるようになります。
つまり、1回読んでわかる文章を組み立てていくのです。
そのために「主語と述語の位置関係」を理解していくと、1回読んでわかる文章になっていきます。
主語と述語の位置関係とは
主語と述語の役割をまとめると以下のとおりです。
主語→述語が示す動作・状態など
述語→主語が表している動作・状態など
鳥が飛ぶ
これはパッと見てもすぐわかりますね!
主語が「鳥」、述語が「飛ぶ」です。
鳥の動作として示している述語が「飛ぶ」です。逆に「飛ぶ」のは、主語として表している「鳥」です。
次は、少し応用的な文章です。
僕が飼っている犬は、走っている姿が可愛い。
この文章の主語と述語はどれでしょうか。10秒ほど考えてみてください。
主語の助詞は「は」と「が」のふたつがあり、この文章は「僕が」「犬は」「姿が」を示していますね。
そうなると、ややこしいですね!その時の方法は、先に述語を見つけることです。
述語は「主語が表している動作・状態」でしたね!
ということは、「可愛い」が述語です。主語は「僕が飼っている犬」です。
結論がない
結論を先に持ってくる
「結論がない」という内容を進める前に、ひとつ知ってほしいのが、結論を先に来ることです。
聴覚障がい者の読者のあなたが上司です。今、部下2人より同じ報告を受けています。内容としては同じですが、流れは違います。よく読んでみて、何が違うのかを考えてみてください。
まずは、部下のAさんの報告内容です。
次に、部下のBさんの報告内容です。
部下のBさんは先に結論を話すのに対し、部下のAさんは最後に結論を話しています。どっちも同じ内容ですが、スーッと理解できるのは、部下のBさんの報告のほうではないでしょうか。
どっちにしても、結論は何よりも重要だと理解していただけたかと思います。
もし、「この賃貸貸借表は粉飾です」だけと報告されると、上司は驚くとは思いますが、それをどうしたいかという考えも聞きたいのではないでしょうか。
結論+提案
結論が大事だと学んでいただきました。その上に、提案すると、評価アップにつながりやすくなります。
例えば、「今月の売上は先月より16%減っています」とします。もちろん意味は理解できます。会社としてはその16%を取り戻すために来月どう動いたらいいのかを考えるでしょう。
しかし、それだけではインパクトが足りません。「結論+提案」をすれば、内容次第でインパクトが強まります。
「今月の売上は先月より16%減っています。その16%を取り戻すためには、1日160個の売上が必要です。そこで、私たち社員一人ひとりが付加価値を探すマインドを身につける環境を作り、見つけ次第、水平展開する仕組みを作ると、取り戻せます。長い時間がかかるのがデメリットですが、実行する価値はあります」
このように、結論+提案をすると、上司の考える手間が省け、さらに評価されるでしょう。
スーッと伝わる書き方の型
先ほど伝わらない書き方を学んでいただきました。次はスーッと伝わる書き方を学んでいただきます。次に紹介する伝わる書き方は、世界に通用できるほど、誰でもできる書き方に型と言われています。
これはPREP法です。一言でいうと、結論で始め、結論で締める書き方です。「書き方」と表現していますが、話す際にも役に立つ型です。
上の画像を見てわかるように、結論から始め、最後に結論で締めています。よく結論を強調するための書き方かと聞かれます。そのとおりです。
私たち人間は忘れる生き物です。最初に結論を出して、理由を話して、具体例を提示していても、聞き手が結論を忘れてたら頑張って話したのに、非常にもったいないですよね。
だから、最初に結論を出して、最後も結論で締めると、聞き手は納得しやすくなります。
「手話を上達させるには会話が欠かせません。手話を実際に会話で使わないと覚えにくい。英語と同じく、いくら単語を覚えていても実際に会話などで使わないと上達しにくいのと同じです。だから、手話を上達させるには会話が欠かせないのです」
上の文をPREP法に従って分解していくと、以下の通りになります。
- P(結論)・・・手話を上達させるには会話が欠かせません
- R(理由)・・・手話を実際に会話で使わないと覚えにくい
- E(具体例)・・英語と同じく、いくら単語を覚えていても実際に会話などで使わないと上達しにくいのと同じ
- P(結論)・・・手話を上達させるには会話が欠かせないのです
PREP法に当てはめるだけで、聴覚障がい者のあなたの伝わる力が格段に上達していきます。
しかし、そんな有能なPREP法にデメリットがあります。
PREP法のデメリット
スピーチや長文の作成に使えない
PREP法は相手の集中力を切らないためでもありますが、これは短くわかりやすく伝えるための型です。もうひとつ、PREP法では最初に結論を出します。つまり、盛り上げる目的のスピーチでいきなり結論を出すと、聞き手の人々が面白さが欠けて、集中して聞いてくれない人が出てくる可能性があります。
長文の場合、最初の部分でPREP法を使って文章を作成すると、それ以降の文を読み飛ばしてしまう可能性が出てきます。なぜなら、すでに結論が出ているからです。
人柄や考え方が見えにくい
PREP法は結論で始まり、結論で締める端的な話し方になり、人によって機械的な印象を与えてしまう可能性があります。特に営業や恋愛などで初対面の人に使うときは注意が必要です。
機械的な印象を与えてしまったら、その印象を変えるのは大変なので、初対面の人にはPREP法を使うのは控えましょう。
事前に情報共有してない人に伝わりにくい
何度も供述しますが、PREP法は結論で始まり、結論で締める端的な話し方です。つまり、なぜその結論になったのか知らない人に、PREP型に従って話しても伝わりにくい。イメージでいうなら、メールで「〇〇の件」を入れず、いきなり結論から話すようなものです。聴覚障がい者の読者のあなたも、「〇〇の件」を入れず、いきなり結論で書かれても、何の話かと思いませんか。
だから、なぜその結論に至ったのかを話す。そのあと、PREP法に従って話す。もしくは、相手が事前に情報を知っていても、「知らない」前提でなぜその結論に至ったのかを話して、次にPREP法に従って話す。このやり方だと、相手にとって再確認もできます。
まとめ
まず、マインドセットを変えることから初めていくことです。書いても伝わらないのは、相手が聞かないからという他責思考を捨てて、「自分の書き方が原因」といった自責思考というマインドセットに切り替えることです。
他責思考は、どうしたら相手を変えられるのかを考える時間をかけるのに対し、自責思考は自分の話し方に問題はなかったのかなど、客観的に見ます。つまり、自分が自分を直そうとするので、範囲が広い。逆に相手を変える、直そうと思うと、範囲が狭いだけではなく、疲れてしまいます。だから、自分を変えたほうが一番早い。さらに自分を変えると、相手も変わり始める可能性も出てきます。
文は長ければ長いほど伝わるのではなく、短いほど伝わります。さらに、PREP法に従って、書いていくと、伝わる文が書けるようになります。最初に結論を始まり、最後も結論で締める話し方をしていくと、より伝わります。
有能なPREP法にデメリットもあることも頭に入れて、スピーチや長文、初対面の人、事前に情報共有してない人には使うのを控えたほうがいいでしょう。
文の書き方の相談があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡していただけると嬉しいです!